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各動物門について

(1)原生動物門 Protozoa
 単細胞で収縮胞や食胞などの発達した細胞内器官をもつ。郡体を形成するものもある。鞭毛,繊毛,仮足により運動する。
アメーバ,ヤコウチュウなど約5万種。

(2)中生動物門 Mesozoa
 多細胞であるが特別に分化した器官をもたない。ある種の多細胞生物が退化したものとされ、原生動物から後生動物へ進化したものとは認めにくい生物である。
ニハイチュウなど約50種。

(3)海綿動物門 Porifera
 胞胚段階の動物で、地質時代を通して進化しなかったものとされる。消化管や筋肉や神経はないが、骨片が分化している。襟細胞や遊走細胞があるので、鞭毛虫から進化したものとされる。これは独特の進化であり、二杯葉・三胚葉動物への進化の一過程にある生物とはされていない。
カイメンなど約50種。

(4)腔腸動物門 Coelenterata
 体制は放射相称で、内外の二杯葉からなる。嚢胞段階にある。感覚器や筋肉が発達し、散在神経系をもつ。また、刺細胞をもつのが特徴である。クラゲ,サンゴなど約1万種。

(5)有櫛動物門 Ctenophora
 腔腸動物と同様に、体制は放射相称で、二杯葉からなる。嚢胞段階にある。刺細胞をもたず、繊毛が集まってできた櫛板をもつ。
クシクラゲなど約100種。

(6)扁形動物門 Platyhelminthes
 原体腔をもつが、きわめて不明瞭である。消化管は未分化で肛門をもたない。籠状神経系をもつ。螺旋卵割を行うことから、紐形動物,環形動物,軟体動物門との類縁性が示唆されている。最近のリボゾームRNAの研究では、この門は、他の動物門にくらべ変化に富み、とくにプラナリアは多細胞動物の中でもっとも原始的であるとされている。
プラナリアなど約7000種。

(7)紐形動物門 Nemertinea
 扁形動物門と多くの点で類似するのですが、肛門と閉鎖血管系をもち、腸や生殖腺に体節制がある点が異なる。排出器は原腎管。
ヒモムシなど約1000種。

(8)曲刑動物門 Kamptozoa
 消化管はU字状に曲がり、口と肛門をもつ。循環系はなく、原腎管で排出する。原体腔をもつ。
ペディケリナなど約70種。

(9)袋形動物門 Aschelminthes
 一度、線形動物と輪形動物の2つの門に分類されたが、近年、従来の1つの門である袋形動物門にもどされた。体表はクチクラで覆われ、原体腔が発達している。口と肛門をもつが、寄生性のものは消化管が退化している。
ワムシなど約1万3000種。

(10)軟体動物門 Mollusca
 閉鎖血管系であり、腎管をもつ。体は頭部、足、胴体部の3部に分かれる。中枢神経系や中腸腺が発達している。幼生はトロコフォラ、ベリンジャーを経る。
ホラガイ,イカ,タコ,オウムガイなど約10万種。

(11)環形動物門 Aenlida
 多数の体節をもつ。真体腔が発達し、体壁には環状筋と縦走筋がある。排出器は腎管、梯子状神経節、閉鎖血管系をもつ。
ゴカイ,ミミズ,ユムシなど約7000種。

(12)有爪動物門 Olychophora
 脚の末端に2個の鉤づめをもつ。粘液腺をもち、捕食などに用いる。気管をもつ。閉鎖血管系で、排出器は腎管である。
カギムシなど約80種。

(13)緩歩動物門 Tardigrada
 後生動物としては最小で、体長は1ミリを超えるものはない。梯子状神経系をもつ。体長はクチクラで覆われ、循環系と呼吸系はない。乾燥させると収縮して乾眠状態になり、4〜7年は耐える。ふたたび湿らせるとただちに回復し、活動する。乾眠状態では100℃の高温や零下250℃にも耐え、放射線や高圧や真空状態にも強い。
クマムシなど約280種。

(14)舌形動物門 Linguatulida
 脊椎動物門に内部寄生する。体表はクチクラで覆われ、循環器はない。
シタムシなど約60種。

(15)節足動物門 Arthropoda
 動物界最大の門で、全動物種の約7割をしめる。大まかに分化した体節をもつ。キチン質の外骨格があり、梯子状神経管、開放血管系をもつ。脱皮、変態をするものが多い。
エビ,カニなどの甲殻類、クモ,ダニ,トンボなどの昆虫、サンヨウチュウなど約100万種。

(16)星口動物門 ipunculoidea
 細長い吻をもつ。体節制はない。排出器は一対の腎管である。トロコフォア幼生を経る。 ホシムシなど約280種。

(17)触手動物門 Tentaculata
 原腸体腔幹であるが前口動物。ある種の腕足類の幼生は毛顎動物と似ている。コケムシ類、シャミセンガイなどの腕足類などの現存種は約5000種、化石種は約2万種以上がある。
(18)毛顎動物門 Chaetognatha
 口元に顎毛をもつ。循環,排出系はない。体腔のでき方は棘皮動物、原索動物に似る。 ヤムシなど約60種。

(19)有鬚動物門 Pogonophora
 左右相称で、前体,中体,後体の3部に分かれる。前体には触手冠と脳がある。 クダヒゲムシなど約70種。

(20)半索動物門 Hemichordata
 脊索と相同とされる盲管と、咽頭に鰓裂をもつ。神経系が背側にあり、他の無脊椎動物の各門と異なる。幼生のトルナリアは、ナマコの幼生アウリクラリアに似る。
ギボシムシなど約100種。

(21)棘皮動物門 Echinodermata
 幼生は左右相称であるが、成体は放射相称となる。水管系と内骨格をもち、管足で移動する。
ヒトデ,ウニ,ナコマなど約6500種。

(22)脊索動物門 原索動物亜門 Prochordata
 個体発生のある時期または一生、脊索をもつ。鰓裂、内柱があり、神経管が発達する。ホヤなどの尾索綱と、脊椎動物の原型とされる体制をもつナメクジウオなどの頭索綱に分かれる。
マボヤ,ヒカリボヤ,ナメクジウオなど約1600種。

(23)脊索動物門 脊椎動物亜門 Vertebrata
 個体発生初期に脊索を生じ、のちに脊椎に置き換わる。脳が分化している。消化系,循環系,呼吸系などの器官系が発達する。胚が水中で発生する魚類と両生類では、胚は羊膜に包まれていない。胚が陸上で発生する爬虫類,鳥類,哺乳類の胚は羊膜につつまれている。鳥類と哺乳類は恒温動物で、カモノハシなど一部を除いて胎生である。
約4万3000種。

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